消して消されて
唯は自宅へ帰ると瞳を忘れるために勉強に専念した。

期末試験を何としても乗り越えなければならない。

しかし集中力はすぐに途切れてしまう。

それは当たり前のことだ。

今日友人を1人失ったのだから。

唯は紙を破って丸めるとごみ箱へ捨てた。

行き場のないこの思いをどうすれば解消することができるのか。

物に当たっても変わらない。

「あーもう!!」

このままでは成績が落ちてしまう。

焦りと不安が唯を取り巻いた。

集中しなくちゃ。

そう思えば思うほど駄目になる。

唯も一般の女子高生だ。

ただでさえ受験のストレスがのしかかっているのに、さらに別の問題を抱えきれるほど大人ではない。

ふとポケットに手を突っ込むとクシャっと音が聞こえた。

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