消して消されて
登校するとクラスはどこか浮き足立っていた。

みんなテストの結果が気になるのだろう。

「唯、お前余裕そうだな」

樹が唯の肩に手を回した。

「そういう樹こそ余裕そうじゃん」

「まあな」

樹は見た目や行動はアホそうだが、意外とちゃっかりしているタイプだ。

志望校についても上位校を狙っているし、現時点では合格ラインだ。

一方唯は内心焦っていた。

最近身の回りが落ち着かず、勉強を疎かにしていたことは否定できないからだ。

まだ3年の1学期だからと思っていたら足元掬われることぐらい唯は十分に分かっていた。

「どっちが点取れるか勝負だな」

「そんなの負けるに決まってるよ」

唯は眉を下げた。

「そんなん分からねぇだろ。もし俺に勝ったらパン奢ってやるよ」

唯が返事を返す前にチャイムが鳴ったので樹は自分の席へと戻って行った。
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