君が笑う日まで…
「そういえば、もうすぐお兄ちゃんも竜も卒業なんだね〜」
冬矢くん達が教室に戻り、私達も教室の中に入った。
夏季がため息をついた。
「学校内でもう会えなくなっちゃうね…」
夏季は寂しそうな表情をした。
そっか…
来月で冬矢くん達三年生は卒業なんだ…。
「温泉ですか〜。いいですねッ」
急に私と夏季の間に割り込む声が聞こえた。
「ギャッ!!!」
夏季がへんな声を出す。
そこには美優ちゃんがいた。
「アンタね〜っ、いきなり何なの!?てかここ二年のクラスだし」
「夏季先輩冷た〜いっ。璃子先輩助けて〜」
安西美優ちゃんは、あの出来事以来、私達になついているみたい。
後から美優ちゃんに聞いた話だと
冬矢くんにめちゃくちゃ叱られたって。
『璃子先輩、羨ましいです。私も璃子先輩くらい想われてみたいなっ』
そう言っていた。
冬矢くんが美優ちゃんに何を言ったかは私はわからない。
でも美優ちゃんをここまで素直にさせる力があるなんて……凄いなって思った。