君が笑う日まで…
授業が終わるチャイムが鳴り止むと、私は鞄にノートをしまい込んだ。
さてっ、今日も終わった。
「夏季っ」
クラスの女の子が私の席まで走ってきた。
顔を真っ赤にしたその子は
「お兄さん!」
そう言ってドアを指さした。指さされた方向を見ると、お兄ちゃんが立っていた。
「どしたの?」
「わりッ夏季!今日急にバイト早出になってしまったから、晩飯いらね〜や」
お兄ちゃんが手を顔の前に立てて『ごめん』の仕草をした。
「うん、わかった。頑張って」
私はお兄ちゃんにガッツポーズすると、お兄ちゃんは笑って教室を出て行った。
「鮫島先輩超〜カッコイイ〜」
さっき私にお兄ちゃんがいる事を教えてくれた子が私の腕に抱き着いてきた。
「何事!?」
「夏季知らないの?鮫島先輩、二年の女子からすごい人気あるんだからっ」
なるほど〜。
私のクラスの女の子がやたらお兄ちゃんの事を聞いてくるわけだ。
お兄ちゃんは背が高めで、スポーツ万能。
確かにモテるのわかるかもしれない。
なんて。
私もちょっと自慢のお兄ちゃんなんだ。
小さい頃にお父さんが死んじゃって、それからずっとお父さん代わり。
今もお母さんの入院費を稼ぐ為に寝る時間削ってバイトに明け暮れている。