君が笑う日まで…
俺は男達の後ろ姿を暫く見ていた後、神谷に視線を向けた。
「こんな時間に一人で何やってんだよ。ナンパしてくれって言ってるようなもんだろ…」
神谷は俯いたまま黙っていた。
「早く家に帰りな」
「………」
神谷の返事はない。
俺は少し呆れながらも
「家に…帰りたくないのか?」
そう聞くと
コクン
静かに頷いた。
「何があったかわかんねぇけど…行くとこないなら家に来るか?」
俺の言葉に神谷は何も喋らない。
そりゃ、普通知らない奴の家なんて行けるわけがないよな…。
「俺は鮫島冬矢。鮫島夏季の兄貴。」
「え…?」
夏季の名前を出すと、神谷が初めて顔を上げて俺を見た。
「家に夏季もいるから、行くとこないならついてきなよ」
そう言って俺は家の方向に歩き出した。
神谷は黙ったまま、俺の後をついてきた。