君が笑う日まで…
神谷の親に『会いたくない』理由は、神谷が笑わない理由と何か関係があるんじゃないのか…。
俺はそれ以上は何も神谷に聞かなかった。
「はい、二人とも」
夏季が入れてくれたコーヒーを一口飲む。
「ねぇ、璃子ちゃんって呼んでもいい?」
「………」
「馴れ馴れしいかな?でも名前で呼び合う方が私は好きっ」
「………」
夏季に押されっぱなしの神谷を見て、俺は少しだけ笑ってしまった。
この前屋上で見た時の印象は神谷の目はものすごく悲しい目をしている。
でも、こうやって夏季とじゃれてる(?)姿を見ると普通の女子高生。
長くてサラサラとした髪。肌は透き通る程白くて、すごく綺麗な顔をしている。
何がこいつをこんなにも悲しい目にさせているんだろう。
俺はコーヒーを飲みながら神谷をじっと見つめていた。
「お兄ちゃん!璃子ちゃんに見とれすぎ〜」
夏季の声に我に返る。
「み…見とれてねーし」