君が笑う日まで…



外は少し薄暗くなり始めてきた。


街灯がつき始め、大通りを走る車にもライトがつき始めた。



「あれ?」



夏季の歩く足が止まった。



私は夏季が歩くのをやめた事を疑問に思い、夏季が見ている視線を辿った。


大通りを挟んだ道の端っこに、黄色く点滅したライトが光るトラックが一台見えた。



「お兄ちゃんだ」



夏季が呟く。



そこには大きな段ボールを運ぶ、冬矢くんの姿が見えた。


引越し屋のバイト中の冬矢くんがいたんだ。



重そうな段ボールを運ぶ冬矢くん。


たまに首にかけたタオルで顔を拭き、同じ作業着を来た男の人に笑顔で話し掛けている。



冬矢くんのその笑顔を見ていたら



私の心臓の音が



早くなっていくのがわかった。



大通りに車が通る度に冬矢くんの姿が見えなくなり、車が通りすぎるとまた冬矢くんを目で追う私。




「さ〜て!早く帰ってご飯作らなきゃ」


夏季の声に我に返る。



「…う…うん」




夏季と私は急いでアパートに向かった。



< 46 / 219 >

この作品をシェア

pagetop