君が笑う日まで…
外は少し薄暗くなり始めてきた。
街灯がつき始め、大通りを走る車にもライトがつき始めた。
「あれ?」
夏季の歩く足が止まった。
私は夏季が歩くのをやめた事を疑問に思い、夏季が見ている視線を辿った。
大通りを挟んだ道の端っこに、黄色く点滅したライトが光るトラックが一台見えた。
「お兄ちゃんだ」
夏季が呟く。
そこには大きな段ボールを運ぶ、冬矢くんの姿が見えた。
引越し屋のバイト中の冬矢くんがいたんだ。
重そうな段ボールを運ぶ冬矢くん。
たまに首にかけたタオルで顔を拭き、同じ作業着を来た男の人に笑顔で話し掛けている。
冬矢くんのその笑顔を見ていたら
私の心臓の音が
早くなっていくのがわかった。
大通りに車が通る度に冬矢くんの姿が見えなくなり、車が通りすぎるとまた冬矢くんを目で追う私。
「さ〜て!早く帰ってご飯作らなきゃ」
夏季の声に我に返る。
「…う…うん」
夏季と私は急いでアパートに向かった。