君が笑う日まで…

冬矢−無力−



泣き疲れて神谷は寝てしまった。



神谷の手首につけられた傷痕は、俺の知らない神谷の過去を意味している。


俺は神谷の過去はわからない。


神谷が傷を隠そうとした事は、過去を隠しているという事。


俺はそれを無理矢理聞き出すつもりはなかった。


ただ


神谷を苦しみから少しでも解放させてやりたかった。



コイツを守ってやりたい。



そう強く思った。





俺は神谷に毛布をかけてやった。



こんな可愛いのに…



何かに苦しんで、笑う事すらできない。



俺は無力な自分に苛立った。




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