君が笑う日まで…
病院に着くと俺と夏季は見慣れた広い病院内を迷わず歩き、母ちゃんの病室へと向かった。
−鮫島 春子−
「お母さん!」
一足先に夏季が病室へ入る。
次に俺、その後ろから神谷が病室に入った。
「あら、よく来たわね〜」
母ちゃんが笑顔で俺達を迎えた。
母ちゃんは俺の後ろにいる神谷を見て
「あら?冬矢の彼女?」
と、神谷に微笑みかけた。
「はじめまして。神谷璃子です」
小さな声で神谷は挨拶をして、母ちゃんに小さな花束を渡した。
「ありがとう。綺麗なお花…。璃子ちゃんて言うのね」
「はい」
母ちゃんは神谷から俺に視線を向け、
「可愛い彼女ね、冬矢」
母ちゃんは目を細めて俺を横目で見た。
「彼女じゃねーし」
俺は顔が赤くなり、母ちゃんから目を逸らした。
母ちゃんはそんな俺を見て笑いをこらえていた。
俺は母ちゃんを睨む。
母ちゃん、元気そうだな
俺は母ちゃんの笑った顔を久しぶりに見て、安心していた。