君が笑う日まで…


授業が終わり、私は教科書を机にしまっていた。



「璃子〜ちょっと三年のクラス付き合ってくれない?」


夏季がもう帰る準備を終わらせて私の席に来た。



「冬矢くんのクラス?」


夏季に聞くと


「うん。でも用事があるのはお兄ちゃんじゃないよ」



「……?」



冬矢くんのクラスに行くのに冬矢くんに用事じゃないんだ…


私は夏季が誰に用事なのかわからないまま、夏季についていくことにした。





三年生の教室は二年の教室とずいぶん離れていた。


初めて三年生の教室まで来た事にへんな緊張が走っていた。



「竜くん」



夏季が急に名前を呼ぶ。


冬矢くんのクラスに行くまでの廊下に、夏季が呼ぶ『竜くん』という男の人がいた。



夏季は何やら竜くんと話し始めたから、私はなんだかお邪魔かなって、その場を少し離れる事にした。


廊下を見渡すと



−3−A−



冬矢くんのクラスが見えた。



私は何気に冬矢くんのクラスへと歩き出した。



教室のドアが開いていて、教室の中が少し見えた時、机に顔を伏せて寝ている男の人をみつけた。



冬矢くん…




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