君が笑う日まで…
「あ〜すっかり寝てたわ」
冬矢くんは背伸びをすると席を立った。
私は今の出来事でかなり動揺していた。
安西さん
冬矢くんに…キスしようとしてたの…?
「どうしたの?つか、さっきいた女誰?」
何も知らない冬矢くんは私の顔を覗きこむ。
「わ…わかんない…」
「ふーん…ま、いいや」
私と冬矢くんは教室を出た。
安西さんの事、黙っていたかった。
あんな可愛い子…
冬矢くんも好きになっちゃうかもしれない…
私はもやもやした気持ちのまま冬矢くんの後を歩いた。
「璃子、お兄ちゃん」
夏季が私達の後ろから声をかけた。
「夏季…あれ?そういやおまえ等何で三年のクラスにいんの?」
寝ぼけた冬矢くんは私が教室にいた事を今になって疑問に思ったらしい。
「竜くんに会いに来た」
「竜?何で?」
「ちょっとね〜」
「何?おまえ等いつの間に!?」
「きゃはははっ」
夏季と冬矢くんが廊下を歩きながら騒いでいる。
私はそんな楽しそうな二人の会話には入れないでいた。
安西美優の私を睨んだ目が頭から離れなかった。