君が笑う日まで…
「なんか…色々ありがとうございました」
私はお母さんに頭を下げた。
「璃子ちゃんが私に話してくれた事、すごく嬉しかった」
お母さんは笑顔で答えてくれた。
私は久しぶりに本当のお母さんに甘えたような気分だった。嬉しいような恥ずかしいような不思議な気持ちだった。
「あ、璃子ちゃん。冬矢はああ見えてすごく弱い部分があるから、璃子ちゃんが冬矢の力になってほしいの」
そう言った後、お母さんは両手を拳にしてガッツポーズした。
「璃子ちゃん、頑張って」
私はそのお母さんの姿を見て
優しく笑った。
私は静かにドアを閉めて、病院の廊下を歩き出した。
私が初めて笑った事に、その後お母さんは涙を流したらしい。
そして
その日お母さんは体調がよくなく、私が帰った後ナースコールを鳴らしていたなんて
私にはわからなかった。