愛 ~①巻~
~陸side~

未來が…

泣いて俺の所に来た。

俺はこの様子じゃ散歩に行けそうじゃないので、
リビングに行く。

丁度未來の母さんは買い物中だった。

「うっ…りくぅ…ッ」

未來は昔からそうだ。

悲しくなったら必ず俺の所に来る。

そしてずっと俺の名前を言い続ける。

「りくぅ…ッ」

いつもならすぐに泣きやむのに今は泣きやまない。

「陸…りゅっ…」

りゅっ…?

「龍…龍ぅ…ッ」

龍ってあの女か?

『未來…どうしたんだ?』

「うっ…りゅっ…う…がね…」

凄いカミカミだ。

『今は言わなくていいよ?』

「うぅ…陸…りくぅ…ッ」

俺は長い間未來を抱き締めていた。


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