猫かぶりな男とクールな女
「どう……って?」
「ぃや……深く考えないで…率直にどう思ったかなぁって……」
遥の問い掛けの意図が分からず、しばらく考え込んでいると、一つの言葉が夏帆の頭に浮かんだ。
「ハッキリ言って………」
「ハッキリ言うと……?」
「あの人…猫かぶって………」
――ピンポン
「えっ…」
夏帆が言い切る前に扉が開いた。
「あ…。 じゃ、木本さんまた…今度ご飯食べに行きましょうね!」
そう言い残し、夏帆は足早に立ち去ってしまった。
「え………あれ?猫?……ぶ、ぶってって言った?あれ?」
一人残された遥はしばらくその言葉を復唱していた。