猫かぶりな男とクールな女
「知らねーよ。
俺だって遥に無理矢理呼び出されたんだよ。 しかも蒼介も誘えってしつこく……」
「だーれがしつこいって?」
「あ…………」
いつの間に戻ってきたのか、目の下のファンデーションを塗りたくった遥が誠の頭を鷲掴みする。
「いってぇ……
ホントのことだろ」
手を振りほどいた誠は顔を歪ませたまま席を遥に譲った。
間に座らすのかよ……………
蒼介と誠の間に意気揚々と座り込むと、遥はジャケットを椅子の背もたれに掛けた。
「……んで、誠はさておき。
なんで俺は無理矢理呼び出されたんですか?」
「……無理矢理ってアンタ…………
冷たっ!!!
何なの!?昨日はニコニコ愛想振り撒いてたくせに!」
「まぁまぁ、お互い働き詰めで疲れてんだからさ…まず飲もうぜ」
「お前今日休みだったろ」
すかさず突っ込む蒼介の隣で遥がビールを一気に煽り、ダンッと勢いよくグラスを置いた。
「大体ね、誠はともかく…
アタシは仮にも女なんだからね!?少しはアタシにも優しくしなさいよ!!」