猫かぶりな男とクールな女
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「んで……何で俺じゃダメなわけ?」
「しつこい。」
なんとか機嫌をとり直した誠を引き戻し、遅めの昼食をとる。
「………いや、普通気になるでしょ。
よりによって、あの蒼介だよ?」
口いっぱいにご飯を詰め込みながら話す誠は、先程から延々と同じ事を言っている。
「とりあえず……飲みこんでから喋ってくれない?
……じゃあ、逆に何で誠は、そんな蒼介君とずっとお友達やってんの?」
「…するどい質問するね。」
ご飯に箸を突き刺したまま考え込む誠。
「アイツ…猫被らなきゃ、普通にいい奴なんだよなぁ………意外と情深いし。」
「…そうなのよねぇ。………口は悪いけど。」
遥はゆっくり立ち上がり、食べ終わった食器をキッチンに運んだ。
食後のタイミングを見計らってスイッチを入れられたコーヒーメーカーがコポコポと音を鳴らして香ばしい香りを部屋中に広げていく。
「んー……やっぱ蒼介は合わないんじゃない?
アイツって俺ら以外に本性見せないし。」
「そこなのよね…」