猫かぶりな男とクールな女
初めて来た時は感動して、ウィンドウの前でしばらく呆然と立ち尽くしていた遥だったが…今は見慣れてるのを通り越して見飽きてしまっているため、ウィンドウに目も向けずに店のドアに手をかけた。
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「木本さん、チーフになったんだってね! おめでとう」
「…あ、ありがとうございます。」
「…大変そうだね… 顔が疲れてるよ」
遥を気遣うように細田は優しく微笑んだ。
「…正直、まだ実感がわかなくて…すみません。頼りないですよね…」
「ははっ!こちらはお客様を紹介して頂く立場だからなんとも言えないけど………今まで通りの木本さんでいいんじゃないかな?
向井さんも今までの仕事ぶりに感心してたし。
ごめんね、偉そうな事言って…」
「いえ、そう言って頂けると、とても嬉しいです。」
向井とは遥の直結の上司にあたり、brilliant Whiteの専務をしている細田と仲が良い。二人とも、平の営業から実力で今の地位までのし上がったと聞いている。いわば戦友ともいえる間柄なのだろう。
「接客からは退くのかい?」
「いえ、件数は減りますが………
ちゃんと担当を持っていたくて。スタッフの気持ちやお客様の要望が分からなくならないように………」