猫かぶりな男とクールな女
「はは………。前々から攻撃的だとは思っていたけどは気のせいじゃなかったみたいだね。」
キーボードから手を離すと、蒼介は凝り固まった肩をさすりながら重いため息をついた。
「そりゃそうですよ。嫌いですから。」
村井は悪びれる事く蒼介のデスクに寄り掛かった。
「村井は面食いなんだね。」
蒼介は少し皮肉を込めて村井に微笑んだが………
「先輩………本当、ムカつきますね。」
聞き取りにくい声でそう吐き捨てると、村井はスタスタと自分のデスクへと戻って行ってしまった。
またもや一人残された蒼介は鼻でフッと小さく笑った。
「この頃…………皆、攻撃的だな。」
夏帆のしかめっ面を思い出し、込み上げる笑いを抑えるようと手で口元を隠す。
―― それにしてもだ。最近すげぇ嫌われてるな、俺…………
数分、携帯を睨みつけながら考え込んだ後、蒼介は意を決したようにあるアドレスにメールを送った。