猫かぶりな男とクールな女
「あ………。
そうそう、彼女の事なんですけど…」
咄嗟に出てしまったとはいえ、遥のテンションの上がりっぷりに、一気に頭がクラクラしてきた。
―この人といるとペースが乱される…
「うんうん! 気になってきちゃった? とうとう気になる存在になっちゃった??」
「いやいや、そうじゃなくて……」
頭の中で必死に弁明の言葉を探す。
「えっと……………。
柊さんって……
お笑い芸人と付き合ってたりします?」
「…………は?」
低い声とともにヒュルルル…と、遥のテンションの下がる音が聞こえた。
「…いや、ほら。最近よくテレビ出てる、中山〇〇っていう芸人で…」
「誰それ。何それ。何の話よ一体。」
「いや……
知らないなら別にいいんですけど」