ギョルイ

 「……重いよ」
「知ってる」
首に唇が当てられて、背筋が冷える。尖った歯が軽く押し当てられた。
「死ぬなら、鮫に食べられたい」
「死ぬとか言うなよ」
それなら何故、何の戸惑いもなくわたしの首を絞めたのか。あの行動には一分の迷いも感じられなかった。人喰いザメと人間とでは、命の捉え方が違うのだろうか。


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