ギョルイ

 「ねえ鮫」
「どうした、紅子」
「そろそろ放してくれるかな」
裸の肌に、鮫肌は痛い。どちらかが少しでも動く度に、こすれて痛い思いをしている。じりじりと痛むところはきっと、赤くなってしまっていることだろう。
「……変な気起こしそうだからダメ」
「せめて服くらい着させてよ」
このままでは風邪をひいてしまうよ、と伝えてみても、ダメの一点張りだった。


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