ギョルイ

 わかりにくいけれど多分、心配されているんだ。
「大丈夫だよ、もうしないから」
一日に二回も走馬灯を見れば十分。
「何であんなこと」
したんだ、までは聞き取れなかった。小さく小さくなっていく力無い声。わたしの後悔を煽るには十分だった。
「もうしない、もうしないよ」
だからねえ、そんな顔しないでよ、とは言えなかった。



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