ギョルイ
3

 ホームに電車が滑り込んでくる。巻き起こった大風がわたしの髪を嬲った。せっかくまとめた髪がぐちゃぐちゃになる。
昨夜のキス、もとい人工呼吸からわたしの息苦しさは潜んだまま出てくる気配はない。嬉しいことだ。それでも少し、鮫に心配させてしまったことを後ろめたいと感じている。朝の鮫は、特に変わったところもなくいつもどおりに生魚を何匹か飲み込んでどこかへ出かけていった。鮫が昼間何をしているかは知らない。


< 22 / 36 >

この作品をシェア

pagetop