ギョルイ

 朝のラッシュから時間が経っているからか、車内の人影はまばらだった。地下を走るこの電車から外は見えない。窓ガラスに映るわたし。真っ赤なポニーテールの色はどこかに消えていた。
赤。わたしの名前の色。美術の心得がないから、赤と紅色の厳密な区別なんてつかないのだけれど。


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