ギョルイ
次の水槽には体をくねらせて泳ぐサメの姿があった。――サメは軟骨魚類だから、化石になっても歯しか残らない。そうわたしに教えたのは、誰だったか。少なくとも人間の筈だ。鮫が化石になる日は来るのか。後世の誰かに掘り起こされるのを待つ地中の鮫。歯以外の骨を失って、ただ眠るその姿。
海にいたはずの鮫は、どうして陸に上がることを決めたのだろう。自由意志、または不可抗力。成り行きかもしれない。
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