ギョルイ
「ねえ鮫、何でひまわりなの」
ひまわり畑に立つ鮫の図を思い浮かべて、あまりのシュールさに吹き出しそうになった。
「もらったんだ。あんまりきれいで、立ち止まってたらくれたんだ」
紅子に見せたかった、と鮫は笑う。鮫の目を見て思い出したのは、目の前で死んでいった金魚の目だった。もしかしたら鮫は、陸に上がった時点でもう死んでしまったのかもしれない。
「ひまわりなら、わたしの故郷に」
目を閉じれば瞼の裏に鮮やかに蘇る、故郷の夏。子供だったわたしは背の高いひまわりにすっぽりと隠されてしまっていた。よくある光景。けれどわたしは恐怖を感じることはなかった。