white or brackⅡ
ボーっと歩いていた
千鶴は優香が裏切っていたなんて知らなくていい
もし優香が戻ってきた時に笑っていられるように知らなくていい
もしかしたら優香は戻ってこないかもしれない
でも千鶴は知らなくていい
私だけ悲しい思いすれば済む
「ふっ」
自嘲気味に笑って思う
本当に悲しいのかな?
涙が出ないのに
優香は友達だったんだよね?
優香はそう思ってなかったのかな?
「零!」
ふらふらと彷徨っていると後ろから声をかけられた
誰か私のこと呼んだ?
気のせいだよね?
そう思って一度止めた足をまた動かした
「零!」
グイッと肩を引かれ振り向くと汗だくの慧
「慧どうかしたの?」
「どうかしたじゃねぇだろ!こんな時間まで何してたんだ!お前と連絡取れないってみんな心配してんだぞ!」
そう言われて周りが暗くなっていることに気づいた
携帯を開くとPM22:00の文字とおびただしい数のメールと着信
「何があったんだ」
さっきまで怒鳴っていた慧が急に優しい声を出すから涙がでた