white or brackⅡ

零の奴どこに行ったんだ!?

倉庫に向かう途中光丘公園にも行ったが居なかった

時間を確認すると22時になろうとしていた

こんな時間に女1人危なくないわけがない

もう一度走り出そうとしたときに見えた後姿

「零!」

ふらふらとした足取りで歩いている人物は

一度足を止めるとまたふらふらと歩き出した

闇に溶けてしまいそうな漆黒の髪がゆらゆらと揺れている

「零!」

肩を掴んでこちらを向かせると見えた零の表情に息を呑んだ

「慧どうかしたの?」

黒目がちの大きな瞳には悲しみが浮かんでいた

触れると今にも崩れ落ちそうな儚い表情

綺麗・・・ただそう思った

が心配していたから怒らないわけにいかない

「どうかしたじゃねぇだろ!こんな時間まで何してたんだ!お前と連絡取れないってみんな心配してんだぞ!」

そう言うと空を見上げて

そろそろと携帯を出して確認している

無意識に歩いていたんだろうか?

「何があったんだ」

心配になりそう聞くと零の瞳から涙がこぼれ落ちた

「おい!どうしたんだ?」

急に泣き出したことに驚いていると

はっ、とした様子で

「ううん、なんでもないよ」ニコッ

と作り笑いしやがった




< 37 / 81 >

この作品をシェア

pagetop