white or brackⅡ
零の奴どこに行ったんだ!?
倉庫に向かう途中光丘公園にも行ったが居なかった
時間を確認すると22時になろうとしていた
こんな時間に女1人危なくないわけがない
もう一度走り出そうとしたときに見えた後姿
「零!」
ふらふらとした足取りで歩いている人物は
一度足を止めるとまたふらふらと歩き出した
闇に溶けてしまいそうな漆黒の髪がゆらゆらと揺れている
「零!」
肩を掴んでこちらを向かせると見えた零の表情に息を呑んだ
「慧どうかしたの?」
黒目がちの大きな瞳には悲しみが浮かんでいた
触れると今にも崩れ落ちそうな儚い表情
綺麗・・・ただそう思った
が心配していたから怒らないわけにいかない
「どうかしたじゃねぇだろ!こんな時間まで何してたんだ!お前と連絡取れないってみんな心配してんだぞ!」
そう言うと空を見上げて
そろそろと携帯を出して確認している
無意識に歩いていたんだろうか?
「何があったんだ」
心配になりそう聞くと零の瞳から涙がこぼれ落ちた
「おい!どうしたんだ?」
急に泣き出したことに驚いていると
はっ、とした様子で
「ううん、なんでもないよ」ニコッ
と作り笑いしやがった