white or brackⅡ

その言葉だけで理解した俺は疾風に哀れみの目を向ける

てか千鶴と恭耶って兄妹だったんだな

どうりで誰かに似てると思うはずだ

1人うん、うんと頷く俺にギロッと千鶴の目が向けられた

「慧さんもムカつかないんですか!?好きな人をブスって言われたんですよ!?」

「・・・」

「は?」

そういえばそうだ哀れみの目を向けるどころかムカつかないと

そう思うとだんだんムカついてきた

キョトンとする疾風に向き直ってニッコリ微笑む

「疾風?」

「な、なんだよ・・・てか好きな人?」

「あぁ、そうだ。ところで疾風?」

さらにニッコリ微笑んで一歩一歩近づくとそれに比例して下がる疾風に言う

「疾風、殴り倒してやろう・・・と思ったけど手が塞がってるから今日は勘弁してやる」

悔しいが零をかかえているかぎり殴ることはできない

あからさまにホッとした疾風が思い出したように言った

「そういえば、さっきそこの角に清凛の制服を着た女が2人居たけど、千鶴の友達か?」

何気なく言った疾風の言葉に2人で固まる

「・・・どんな子だった?」

おそるおそるといった様子で千鶴が聞いた

「んー1人は大人しそうなふんわりした子で、もう1人は気の強そうな高飛車っぽい子だったな・・・」

何かそいつらとあったのか眉間に皺を寄せて言う疾風

「そういやカメラ持ってたぞ何撮ってたんだ?ッぃて」

首を傾げて言う疾風を千鶴が意味もなく殴って

慌てたように言った

「慧さんヤバイですよ!あぁ!もう私帰ります!」

そう言って走り去る千鶴を2人でポカーンと見つめた

「なんなんだあいつ・・・」

「さぁ?」

千鶴のヤバイと言う言葉の意味がわかるのはそんなに遠くない日だった

悠長に考えていた俺は

そのときにはもう手遅れだとも知らずに・・・






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