white or brackⅡ

零said

リビングを抜け出した私は、慧の部屋があるであろう方向に向かっていた

リビングを出た時ふっと自分の笑顔が消えたのがわかった

正直あの場所に居るのは辛かった

まだはっきりとわかったわけじゃないけど・・・

いや、わかってるけどわかりたくない

優香が裏切ったという事実

わかっているけど

わかりたくないこの事実は思ったより私にダメージを与えていたようで

昨日、姿を消した私になにがあったのか聞かずに優しく・・・いつも通り接してくれる皆に涙が出そうになった。

でもいつも通りということが優香が裏切ったという事実を浮き彫りにして・・・

ぼんやりとそんなことを考えながら歩いていると、前から誰かが歩いてくるのが見えた

誰、だろうか?

まだ遠く歩いているその人影は・・・

ゆらりと揺れている黒い髪

背筋をピンと伸ばした歩き方は

どこか見覚えがあるような気がした

「零、ちゃん?」

いつの間にか近づいていた距離

足を止めた相手にならって私も足を止めた

この人は私のことを知っているのだろうか?

小首を傾げながら、こちらを見つめている人をボーっとする頭で見つめる

私の知り合いにこんな人は居ただろうか?

「・・・どちらさん、ですか」

ああ、喋るのも面倒なくらいダメージを受けていたのか・・・

なんて首筋からチラリと見える蝶のタトゥーを見ながら思った。

視界の端にニヤリと歪んだ口元が見えた気がした






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