君・恋・スマイル~純愛~
凜に手をひかれ、やってきたのは、木陰だった。

目立たない、決して華やかではない、大木の・・・。

「いきなりなんなの!?」

「・・・・。」

私が聞いても凜は答えない。

私の小さい手を、大きな手で包むだけ・・・。

なんでこんなことするの?

じわじわと、凜の温かさが伝わってくる。

あたりを見ると、綺麗な花壇があった。

それはそれは綺麗な桃色。

近所の人が水をあげていた。

ふと、思った。

この木は、水をもらってるのかな。

もしかしたら、目立たないこの木は・・・。

その時、やっと凜が話した。

小さな、でも強い声で。
< 46 / 64 >

この作品をシェア

pagetop