One Day~君を見つけたその後は~
そうこうしていると、いつもテーブルの上に投げ出してあるキヨちゃんのピンク色の携帯が、メールの着信を知らせて鳴り響いたんだ。

するとキヨちゃんはそれにすぐさま反応して。

「あっ、アキちゃんからだ!」
そう言い終わらないうちに、携帯に手を伸ばして嬉しそうにメールチェック開始。


この“アキちゃん”って、キヨちゃんのメル友なんだけど……実は俺のことなんだよね。



……俺がキヨちゃんのメアドを偶然知ったのは、ほぼ1年前。
出会って間もない頃のことだった。

当時キヨちゃんはまだ日本に戻ってきたばかりでね。

海外に引っ越す前(小学校に上がる直前って言ってたかな?)に仲良しだったっていう幼なじみの女の子に、帰国したことや上のフロアの英会話教室で働き始めたことを報告してたんだ。

でもさ。
いくらここが私語オッケーのオープンスペースだからって、友達に電話かけちゃうなんてやりすぎだよね!
回りの奴らが聞き耳を立てて会話を聞いてるって言うのに、キヨちゃんってばそんなのお構いなしなんだから。

「電話番号は、090ーXXXXーXXXXでー。うんうん、そうそう、XXXXね!」
「メアドは、アットマークの前がローマ字でキ・ヨ・カ、続けて数字の……」
っていう具合に、個人情報大公開!

横で聞いてるこっちのほうがオロオロしちゃったよ。

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