One Day~君を見つけたその後は~
そしてキヨちゃんは、電話を終えると、俺に電話の相手のことを教えてくれたんだ。

「私、日本の友達って、この子だけなんだよね……」って。
そう語るキヨちゃんは、“らしく”ない、寂しそうな表情をしてた。

だから、その後のキヨちゃんの
「ねえメガネ、私の友達になってくれない?」
っていう言葉に、俺は迷わず即答しちゃったんだ。

「もちろんだよ! 俺なんかで良ければ喜んで! こちらこそ、末永くよろしく!」

なーんて。

ホントは緊張のあまり、なんて答えたのかさっぱり覚えてないんだ。
でも、いっぱいいっぱい首を縦に振って頷いたつもりだし、ニュアンスは伝わったと思うよ。


──それから。

その日家に帰ると俺は、間違いメールを装って、まだはっきり記憶に残っているキヨちゃんのメアドに宛てて、どうでもいい内容のメールを送ったんだ。

最初からキヨちゃんを騙すつもりなんて、これっぽっちもなかった。
ただ、夕方見たキヨちゃんの寂しそうな顔がずっと頭から離れなくて。

だから俺、キヨちゃんに声をかけてあげたかっただけなんだ。

送信名は“Aki”。
これだけは嘘偽りのない俺の本名で、普段から使ってるHNでもあるんだよ。


すると案の定、すぐにキヨちゃんから返事が返ってきた。

〈おーいアキちゃん、アドレス間違えてるみたいだよ、もう一度確認して?〉
って。

こんな間違いメール、俺なら絶対無視するんだけど。
でもキヨちゃんは違うんだよね。

しかも「はじめまして」の挨拶もないまま、いきなり“アキちゃん”ときたもんだ。
それでも、「さすがキヨちゃん!」と思えば納得できたけどね。
< 101 / 179 >

この作品をシェア

pagetop