One Day~君を見つけたその後は~
食堂で一斉に夕食をとったあとは、自由行動。

今夜は、大座敷に男子全員、洋室数部屋に女子が分かれて泊まることになっていた。


だけど、誰が言い出したわけでもないのに、自然と男子の泊まる大部屋に人が集まってきて。

もう夜の九時半を過ぎようというのに、まだ、いくつかのグループに分かれて話に夢中になっているところだった。

他にお客さんがいないって、こういうとき気楽だよね……。


「ねえ先輩。ちゃんと聞いてくれてますかー?」

いきなり、隣に座っていたタケちゃんが私の顔をのぞき込んできた。


「あれっ、どうしたんですか? 先輩、なんだか顔が赤いですよ」

「えっ!? そんなことないよ!」

頭の中から、大慌てで慎やファーストキスの残像をかき消す私。

……やばい。
私ってば、またタケちゃんを無視して自分の世界に入り込んでたみたい。


「えーと……ゴメン、何の話だったっけ?」

横目でチラッと慎の様子を伺ったけれど、慎は後輩との話に夢中でこちらを気にする気配はない。


よかった。
さっき目が合ったと思ったのは気のせいだったのかも。


安心する私の横で、タケちゃんは話を続ける。

「はぁ……。深月先輩、俺はどうしたらいいんですかねぇ」

そして苦悩の表情をしながら、「ヒック!」ってしゃっくり。


信じられないけれど、どうやらタケちゃんはコーラで酔っ払っちゃったみたいだ。
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