One Day~君を見つけたその後は~
部屋を出ると、目の前はエレベーターホール。

ちょうど同じフロアに止まっていたエレベーターに駆け足で乗りこむと、私はすぐさま「閉」ボタンを押した。

だって、タケちゃんが追いかけてきそうなんだもん……。


続けて一階のボタンを押すと、エレベーターはゆっくりと動き出す。

エレベーターは時折、何かに引っかかるようにガタンと大きく揺れた。

……やっぱりこのエレベーターも、かなり年季が入っているみたい。

それでも、今日何度か乗っていると全然怖さを感じなくなるんだから、不思議なものだ。


私はあまり刺激を与えないようにそっとエレベータの壁にもたれかかると、小さくため息をついた。

「はぁ……」

これって、タケちゃんから無事に逃れられた安堵のため息?

……ううん、それだけじゃなくて。


ヤマタロ……。


昼間にバスの中から見た光景──グラウンドで話をするエリナとヤマタロの姿──を思い出す。

久しぶりに見たエリナは、相変わらずかわいくて。

すごく愛想が良くて。


エリナ、もしかしてヤマタロのことをまだ諦めていないのかな?


「……ダメダメっ!」

そんな嫌な考えを払拭したくて、私は頭を何度も横にブンブン振った。
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