One Day~君を見つけたその後は~
その途端に、私の肩にのせていたヤマタロの頭が、ピクッと小さく揺れた。

続いて、「プッ」という、堪忍袋の緒が切れる音。


いやいや、本当に聞こえたわけじゃないんだけど!

でも、間違いなく、そんな気がしたんだよ!!


“ブチブチブチッ!”と派手にキレる私とは対照的に、ヤマタロはいつも、静かに軽く“プッ”ってキレる。

そして、いつも笑みを含んでいる穏やかな顔から、みるみる表情が失われて。
体も固まって。
しばらく、不気味な沈黙が続くんだ。

そう。まさに今が、そんな感じ。


「……」

「……」

ヤマタロが、ものすごく重たそうに頭を上げる。

真一文字に結ばれていた唇を開くと、その隙間からきつく噛み締められた白い前歯が姿をあらわした。

……やっばーい。

私もつられて「いー」って同じ口になったところで、ヤマタロとばっちり目が合ってしまった。

慌てて唇を閉じたけど、時すでに遅しで。

「お前……」

いやいや、違うよ!
これはふざけているわけじゃなくて、ただ、つられただけなんだってばー!

頭をぶんぶん横に振りながら、涙目で必死に訴える私。


どうしよう。
ヤマタロ、めちゃめちゃ怒ってる……。


そう思った瞬間だった。


目をぐわって見開いたヤマタロが、

「ああもう、めんどくせーっ!」

って大きな声をあげて。


ごんっ!!


私は、ヤマタロに、思いっきり頭突きされていた。
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