One Day~君を見つけたその後は~
だけど、くるっと振り返ったヤマタロは、いつも通りの澄ました表情に戻っていた。

あーあ。
レアな照れ顔、もっとゆっくり見ていたかったのに。
ものすごく、残念……。

「そういうわけで、一人でゆっくり買い物してくるから、少し休んだら?」

ヤマタロは、微笑みながら顔を近づけてきて、

「それとも、それどころじゃない?」

って……。

「もうっ!」

いちいちドキドキ過剰に反応する私を見て、さらにもう一度、ヤマタロが微笑む。


あ……。
私、やっぱり、この優しい笑顔が好きだ。

この視線に捕まるといつも、おなかの辺り、おへそのずっと奥の方がぎゅーって締め付けられて。

ドキドキするんだけど、すごく切ない気持ちになるんだ。

私、本当に、ヤマタロのことが大好き……。


そう思ったら、急にしんみりしちゃって。

今更だけど、さっきのことも、本当に申し訳なく思えてきて。


「……意気地なしで、ごめんね」

頭を下げて、素直になれなかった自分の態度を謝った。


「いいよ。なんとなく、こーなる気はしてたし」

ヤマタロが、さっきはまるで凶器だった指で、私の頭を優しく撫でてくれる。

よかった。
これで、ひとまず一件落着……と、思ったんだけど。


それは、私の早とちりだった。


「それに、まだ、終わってねーし」

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