One Day~君を見つけたその後は~


ふわふわ、ふわふわ。


私は夢を見ていた。

場所は近所のコンビニで、ヤマタロが鼻歌を歌いながら、買い物をしているところだった。

買い物カゴの中には既に、このお店特製の濃厚ミルクプリンがひとつ入っていて、ヤマタロは時おり後ろ髪の寝グセを気にしながら、商品棚に並んだ色とりどりのお弁当を眺めている。

……なんだか、楽しそう。

しばらくすると、ヤマタロが、棚から続けてふたつお弁当を手に取って、くるりと向きを変えた。

どうやら、私にはパスタで、自分用には無難な幕の内を選んだみたい。


ヤマタロ、また今日も煮物のシイタケを残すつもりかな?

私だって嫌いなんだから、絶対代わりに食べてあげないんだからね!

残さずに、ちゃんと食べるんだよー?


ねえ、ヤマタロ。

私の声、聞こえてるー?



……と、そこで場面が一転した。


次は……どこかの森みたいだ。

木漏れ日が揺れる、天気のいい昼下がり。

そこだけがぽっかりと開けた広場のような場所で、私は静かに眠っていた。


着ているのはふわふわの袖がついたとっても可愛いドレス。そして頭にはティアラ。

……この設定って、もしかしてお姫様?


えーと、えーと、なんのお話だったっけ?

お姫様が眠っていたら、王子様がやって来るんだよね。

シンデレラ……じゃなくて。

王子様のキスで目を覚ますお姫様のお話!


……赤頭巾ちゃん?

ちがうよ!
それじゃ私、狼に食べられちゃうし。

そもそも赤頭巾ちゃんは、お姫様じゃないし!



えーと、えーと……

あれは確か……

……。


……困ったなぁ。

眠気のせいで、頭がうまく働かないや。
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