One Day~君を見つけたその後は~
私を取り囲んでいるのは、色違いの服を着た小人たちだ。

ひとり、ふたり、さんにん……全部で七人いるみたい。

その中でもとびきり目立っているのは、私のことを心配しているふうではなく、両手に野原で摘んだ綺麗な花を持って楽しそうに踊っている三人の小人だった。

あ。よく見ると、陽人とチョコとタケちゃんじゃん!

やっぱり三人は、夢の中でもテンション高いんだね……。

そして、私を遠巻きに見守ってくれているのが、東雲と滝田先生。

それともうひとり……先生の後ろにいるのは、慎だ。


あれ?
よく見ると、踊っているタケちゃんが2人に増えているんだけど、もしかして、分身の術が使えちゃう設定?

ああ、そうか。一人足りないから、強引に頭数を合わせたってことだね。

私の夢って、なんて適当!


森から少し離れた場所にはお城があるらしくて、そこで私たちの様子を鏡に映し出している魔女は……エリナだ。

手に持っているのは、毒リンゴ。


……分かった。これ、白雪姫だ!


そうか。

私たちは、今、王子様の到着を待っているんだね……。


王子様は、もちろんヤマタロだよね。

コンビニ袋をぶら下げて登場する王子様って、ちょっと笑えるんだけど。

それに、本物の白雪姫みたいに優しいキスで起こしてくれればいいんだけど、現実はそんなに甘くはなさそうだ。

ヤマタロだったら、面倒くさそうに登場して、すぴーって寝息をたてて熟睡している私を見るなり、

「さっさと起きろ!」

って、たたき起こしそうだもんね。


……でも、いいや。

……あとはぜーんぶ、王子様に任せよう。


ヤマタロに任せておけば、きっと大丈夫……。
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