One Day~君を見つけたその後は~
しばらくすると、陽人からの折り返し電話も途切れ、私の部屋は再びしんと静まり返った。
私は自分の右手をじっと見つめた。
あーあ。
せっかく明日のために買ったマニキュアだったのに。
だけど今から塗り直すのは面倒くさい。
ダマになったところは、明日の朝ネイルシールを貼ってごまかしちゃおう。
私は気持ちを落ち着かせて、残った二つの爪にマニキュアを塗った。
作業に集中していると、少しだけ気持ちに落ち着きが戻ってくる。
そうして、私の爪がすべてパール入りのピンク色に染まったところで、再び携帯が音をたてた。
もしかして、陽人?
……だったらそろそろ、許してあげてもいいかな。
だけど、サブディスプレイに表示された名前は陽人ではなく、深月だった。
……ヤレヤレ。
予想はしていたけど、遂に第二波がやってきたか。
……私って、なんだかんだ言って深月には甘いんだよね。
そう思いながら携帯に出ると、いきなり深月の甲高い悲鳴が聞こえてきた。
「チョコーっ! ちょっと聞いてよーっっ!!」
──予想通りすぎるよ、この言葉。
「ハイハイ……大変だったんだね……」
そして私はまた、陽人から聞いたのと同じ話を、陽人と同じハイテンションの深月から聞かされる羽目になった。
……優しいよね、私って。
こうして、久しぶりのデートの前夜はあっという間に更けていったのだった……。