One Day~君を見つけたその後は~
あー、眠い。

私はあくびをかみ殺した。


昨夜、結局深月と一時間以上話をしてしまった。

お互い彼氏の愚痴を吐いていたら、あっという間に十二時を過ぎてしまって。

電話を切るとき、深月はまだ今日の旅行の準備をしていないって言ってたけど、間に合ったのかな……。


それと、陽人のこと。
深月との話に夢中ですっかり忘れていた。

今日の予定で決まっているのは待ち合わせ時間と場所だけ。

あとで「昨日はゴメンね」ってメールを送っておこうかな。


あー、それにしても眠いなぁ。


またひとつ、大きなあくびをして涙目になっていると、隣の席の椅子を引く人影が見えた。

そして、「おはよう」っていう聞きなれた声。

「今から英語の小テストがあるって言うのに生物の勉強してるなんて、相変わらず余裕だね。さすが成績優秀なチョコちゃんだ」


その声の主は、深月の元彼、慎くんだった。


「なんなのよ、その説明口調は。しかもイヤミたっぷりだし」

慎くんは笑いながら椅子に座ると、すぐにカバンから英語の問題集を取り出した。

「……っていうか、慎くんがどうしてここにいるの? 今日は滝田先生の送別会でしょ? 正午にバスが出るって聞いたけど」

「俺は後から参加するんだ」


話しながらも、視線は問題集。

少しはこっちを見なさいよっ!
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