One Day~君を見つけたその後は~
深月とヤマタロが付き合い始めて三ヶ月。

ヤマタロは今でも相変わらず女の子に人気がある。


もともと仲のよかった二人だ。

特にヤマタロなんて、付き合うようになってからも深月に対する態度は全くと言っていいほど変わってなくて。

だから、二人の関係が『友達』から『恋人』に変わったなんて、周囲の人間が気付かないのも当然といえば当然のことで。


ヤマタロは、この三ヶ月のうちに数回、そんな事情を知らない女の子に告白されていた。

ひどいときなんて、私と陽人が『お弁当デート』で不在の日、二人でご飯を食べているところに女の子が現れて、深月の目の前でヤマタロに手紙を渡した……なんてこともあったらしい。

ヤマタロはもちろんその都度、相手に深月のことを説明した上できっぱりはっきり『お断り』をしている。

だけど深月は、そんなことがあるたびに不安になって、私に泣きついてくるんだ。


ヤマタロは、まず、そんな深月を軽く放置する。

ヤマタロに言わせると「そろそろ、自分に自信持ってくれよ……」っていう気持ちの表れらしいんだけど。

でも、ただ単に、毎回深月を慰めるのが面倒くさいだけのようにも見える。


まあ、ね。確かに。

あの面倒くさがりのヤマタロに毎日何度もメールを送らせて、「好き」って言わせたくらいなんだから、不安も何もないだろう? って気がしないでもない。

でも、そんなことに気付かずに不安に思っちゃうのが、深月のかわいいところで。


──結論。

ヤマタロって、意地悪なやつなんだよ!


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