One Day~君を見つけたその後は~
ヤマタロを呼び出したのは、この季節には滅多に人が立ち寄らない屋外プールの裏手だった。


《放課後、陽人や深月にばれないようにプール裏に来るべし!》


私はヤマタロにそんなメールを送った。


だけど、よくあることなんだけど、ヤマタロからの返信はなくて。

これじゃ、ホントにメールを見てくれたんだか分かりゃしない。

私は10分待ったところで痺れを切らして、ヤマタロに電話をかけた。


電話に出たヤマタロは、面倒くさそうに一言。

「あー、今向かってるとこだから」

……だったら連絡しなさいよっ!


確かにその後すぐに、ヤマタロは現れた。

「こんな人気のないとこに呼び出して、何なの? もしかしてオレに愛の告白?」

なんだか楽しそうな顔をして。
奴はそんなふざけたことを言いやがった。

「馬鹿なこと言わないで。……っていうかメール見たんなら返事ぐらいよこしなさいよ」

「別に、こうして来てんだからいいじゃん」

なんかもう、ヤマタロの言うことっていちいちムカつく。

コイツ、緊張感皆無だけど、私が呼び出した理由が本当に分かってないのかな?

私はわざと意地悪っぽく、ヤマタロに言ってやった。



「──何よ、深月にはマメにメール送るくせに」

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