One Day~君を見つけたその後は~
ヤマタロはそんな私のプチ殺意が込められた視線に気付かず、楽しそうに会話を続けた。

「あー、見たよ。知佳も見る?」

「いいよ、今晩持って行くから。八時くらいだったらもう帰ってる?」

なんだなんだ?
聞き捨てならない会話、してくれてるじゃん……。

「それじゃ、今友達といるからまたあとでなー」

楽しそうなその電話は、すぐに終わった。


私は、「話途中でごめん」って携帯を閉じるヤマタロを、それはもう思いっきり冷たい目で睨み付けた。

「今の誰?」

ヤマタロは私の顔を見て「おっかないなー」って笑いながら答えた。

「知佳っていう、近所の友達だよ」

「本当に友達?」

「ああ。知佳とはガキの頃からの付き合いだし、深月だって中学が一緒だったからどんなヤツか知ってるよ。今の電話は、オレが持ってるDVDを貸す約束してたから、その話」


……なんでだろう。
一瞬、深月の泣きべそ顔が頭に浮かんだ。


「……ヤマタロって、女友達多いよね」

「そう?」

「深月をそんな中の一人にして欲しくないんだけど」

「そんなつもりはないよ。そんなことしたら、チョコや陽人に殺されるだろ」


私の攻撃を、どこまでも余裕たっぷりに返してくるヤマタロ。

なんだか、だんだんムカついてきたんだけど……。


私は拳をぐっと握り締めた。


「じゃぁ、その携帯に入ってる女友達のメモリ、全部消せる?」

「え?」


「深月だけだっていうヤマタロの本気、私に見せてよ」
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