One Day~君を見つけたその後は~
あーもう。信じられない。


「ごめん……ホントは寸止めするつもりだったんだよ」


そんな言い訳をする私の声は震えていた。

まさか、全部データを消しちゃうなんて……。


「これでいいんだろ? 女友達のデータだけ選んで削除するなんて、そんな面倒なことやってられるか」

ヤマタロは携帯を閉じると、ズボンのポケットにそれをしまった。


「ヤマタロごめん、ホントにごめん!」


自分で言い出したことなのに。

こんなことになっちゃって、私はどうしていいか分からなくて。

ヤマタロに何度も頭を下げながら、私の目にはどんどん後悔の涙が溜まっていった。



「そんな、気にしなくていいよ」

そう言うとヤマタロは、続けて4桁の数字を口にした。

それは……


「当たってるだろ? チョコの携帯の番号」


私は黙って頷いた。

間違いない。それは私のケー番だった。


「本当に大事なヤツの番号はちゃんと頭に入ってるから。こんなのどうってことないよ」


また元通りの優しい声色でそう言ってくれたヤマタロは、私の頭を軽くポンポンと叩いてくれて。

「だから泣かないでくれる? こんなとこ陽人に見られたらオレ、殺されるし」

そんな冗談を言って、いつものように笑ってくれた。


なんか私、ヤマタロに慰めてもらってるよ……。

勝負に負けて悔しい気持ちと、笑ってくれたヤマタロに安心したのとで、

「ありがと、ヤマタロ……」

私の涙はしばらく止まらなかった。

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