One Day~君を見つけたその後は~
「おい、陽人。早く帰らないとチョコが待ってるぞ」


そう切り出して、オレが一人で先に歩き始めたのは、陽人のためだ。

間違っても、この状況が気に入らないからではない……


慌てて後を追いかけてくる陽人に、

「それじゃあ相馬先輩、来週からよろしくお願いしまーす!」

とエリナが声をかける。

遂にオレは、名前すら呼んでもらえない存在になってしまったようだ。

そんなエリナに、律儀に振り返って「おう」と手を振る陽人がなんだか腹立たしい。


「アイツ、お前やチョコたちが言ってたほど嫌なヤツじゃねーよな。明るいし、マネージャーに向いてそうじゃん」

コイツ……なんかやたらと嬉しそうじゃないか?

「お前は全然分かってないな、ああいう女は……」

そこまで言って、俺は口をつぐんだ。


……やっぱり、やめた。

しばらくエリナのお手並みを拝見してやろうじゃないか。


まぁ、これだけチョコが怖い陽人だ。
なにか間違いがあるかも知れないなんて、そんな心配は無用だろう。

それに、そうなったらそうなったときだ。
エリナとチョコの激しいバトルを見てみたい気もするし。



「これから、楽しみだな」

「ん? 何がだ?」

「いや、こっちの話」


なんだか楽しくなってきたぞ。

だけど決してオレは、はぶにされたのをひがんでいるわけじゃないからな……。


オレは自分自身にそう言い聞かせた。


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