One Day~君を見つけたその後は~
その絶叫に、ヤマタロはあからさまに不愉快そうな顔を見せた。

「何? いやなわけ?」

「イヤイヤイヤイヤ……嫌じゃないけど。ほら、その、いきなり言われても心の準備ってものが……ね」

「お前、一体何ヶ月そうやって心の準備してるんだ?」

「だって……ほらっ! 私はヤマタロみたいにそーいうことに慣れてないから……」

その言葉に、ヤマタロの眉毛がピクピクと引きつる。

「人聞きの悪いこと言うなよ」

「だって……」

「言っとくけど、オレのほうがブランク長いんだからな。緊張の度合いは深月と似たようなもんだって」


──え?

「えー!? そうなの?」

私は思わず後ろにめいいっぱい引いていた上体を起こして、ヤマタロの顔をのぞき込んだ。

「だってヤマタロ、女の子としょっちゅう遊んでたじゃん!」

「ばーか。こーいうことは誰が相手でもいいってもんじゃないだろ」

「まぁ、それはそうだけど……」

そうか、そうだったんだ……。
こんな危機的状況なのに、なぜかホッとしてしまう私。

「そうなんだぁ……私はてっきり」
「そんなことは今はいいから」

──油断大敵。

私がふっと気を抜いた一瞬の隙を、ヤマタロは見逃してはくれなかった。
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