One Day~君を見つけたその後は~
店を出ると、俺はぶっきらぼうに「ほら」と隣のチョコに肘を差し出した。

チョコは、そんな俺の腕に自分の腕を絡めながら、
「ねえ、陽人の行きたいお店ってどこなの?」
と聞いてくる。

そして俺は、至近距離から俺を見上げるチョコにドキッとしてしまうんだ。


これは、いつものことだ。

俺たちは一度も手を繋いで歩いたことがない。


だって、手を繋いで歩くなんて、どう考えても恥ずかしいだろ?

俺にはそんな照れくさいこと、到底無理だ。

それに、手を繋ぐよりこうして腕を組むほうが、密着度が高くていいじゃないか。

いや、別にそれが目的って言うわけじゃないんだけど。



一方、あいつら馬鹿カップルはどこでも平気で手を繋ぐ。

さすがに学校の中でそんなことはしないが、休みの日に四人で遊びに出かけた時なんてしょっちゅうで。

そんな時、なかなか今までの「友達」気分が抜けない俺とチョコは目のやり場に困るんだが、本人たちはそんなことお構いなしで。

おいおい、少しはこっちにも気を使えよ!……と言いたくなる。
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