One Day~君を見つけたその後は~
俺たち4人の中で、チョコだけが、中学校区が違う。

チョコの家は、俺たちが利用している電車と同じ沿線上ではあるけれど、学校を挟んだ反対方向、それもかなり遠方にある。

だから、平日の放課後はお互い部活や塾があるし、なかなかゆっくり会うことが出来ずにいた。


チョコは、昨日のように学校帰りに深月やヤマタロが俺の部屋に寄ったという話をすると、いつも決まって膨れっ面をする。

そして俺に甘えるように、こう言うんだ。

「私も、陽人の家に寄りたいよぉー!」


コレは嬉しい。
俺だって、できることなら毎日だってそうして欲しい。

あの馬鹿二人を目の前にして、何度そんなことを願っただろうか……。


だけど、チョコがそうやってすねるたびに俺は、泣く泣く(ここが重要だ!)、心を鬼にして
「頼むから、まっすぐ家に帰ってくれ」
と懇願するんだ。

これは俺のわがままなんだが、俺は、あまり遅い時間にチョコに出歩いて欲しくない。

塾で遅くなるのだって、内心心配で仕方なくて、毎日でも送迎をしたいくらいで。

お前は過保護な親か!? とよくヤマタロにバカにされるんだが、仕方ないだろ。あれだけ可愛いんだぞ?

夜道を一人歩きなんかしたら、いつどこで変質者に狙われるか分かったもんじゃない。

いや、うちに来て帰りが遅くなるのなら、その時はもちろん俺が家まで送り届けるし、チョコに一人歩きをさせるつもりなんて全くないんだけれど。


……でも、それでもダメだ。

過保護上等。嫌なものは、嫌なんだ。

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