One Day~君を見つけたその後は~
それは少し前から気になっていたことだ。

だけど、俺はどうしてもそのことをチョコに聞けずにいた。

深月は何か知っているような感じもするんだが、それでもやはり聞けなくて。

「うん、そうだよ!」

あっさりとそう言われるのが、何故だか分からないけれど、怖かった。




進級、そして大学受験。

否が応でも突きつけられる現実を前にして、将来のことを考えるようになったせいだろうか?


成績優秀なチョコに比べると、俺は勉強だっていくら頑張っても中の中程度の頭しか持ち合わせていないし、将来のプランなんて何もない。

ただ、俺は走るのが好きだから、大学に入っても、それから後も、ずっと陸上を続けたいと思っているくらいで……。


……俺は、なんだか焦っていた。

こんな俺が相手で、本当にチョコはいいんだろうか?



「チョコ、医者になって後継ぐのか?」

俺の質問に、チョコは

「うーん、まだわかんない」

と軽く答える。

「わかんないって……医学部を狙う気になったから、理科系の勉強始めたんだろ?」

「まぁ、そうなんだけどねー」


チョコは俺のほうを見て、いたずらっぽく笑った。

か、軽いぞ……。


「もっと聞きたい?」

「聞きたいどころじゃない。早く言ってくれ!」

「えー、どうしようっかなー」


どうしてチョコのやつは、こんなに楽しそうなんだ?

もったいぶりやがって……。

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